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卒論 Tips5 文系の強い武器・・・アンケート編  (1/9)
はじめに

 文系のアンケートは、理系の実験に相当するものであり、卒業論文を制作する上で強い武器になりうる。理系の人が、実験をしてデータを集めて分析すれば、それなりの形になるように、文系の人もアンケートを行えば、オリジナルデータが収集でき、表やグラフ、統計手法を使って分析することにより、それなりの形ができあがる。資料を地道に整理して何かを考察するのに比べると一見オリジナリティは際立って見える。また、比較的容易に“発見”をする事もあるだろう。
そのような意味で文系の強い武器=アンケートを使わない手はない!
(注:もし、自分の卒論テーマではアンケートといった手法は馴染まないと考えている人がいたら、逆説的だが、是非このTipsを読み進めていってほしい。具体的な事例をベースに書いているので、その中から新しい発見があるはずだ。

 しかし、
強い武器”ではあるが、実際は、理系の実験と同じく、そうそう簡単ではない。アンケートの企画・設計は大変だし、留意事項も多く、送付・回収という手作業も発生し、額に汗して集めたデータを入力しなければならない。また分析も色々な面で大変である。数学が嫌いで文系に入った方は、統計学”の壁にぶつかり苦しむかもしれない。そんな訳で、ここでは、アンケートを実施する際のポイントをいくつかに絞って解説してゆきたい。大項目は以下の四つ。

  • 企画・設計段階(p1〜3)

  • 母集団とサンプリングの話(p4〜5)

  • アンケート紙作成で気をつける事(p6)

  • アンケート分析・統計の話(p7〜9)

想像力を働かせて〜企画・設計段階

 アンケートを行うにあたり必要なことは、アンケートで何を調べるのかを明確にすることである。通常、仮説があり、それを検証するために行うものである。では、仮説からアンケートの企画・設計をどのように進めてゆくのだろうか。
ここからは、理解し易いように簡単な例をもとにみてゆこう。

疑問例:携帯とPHSを使っている人の差は何か?
を学生を対象に明らかにする事を卒論のテーマに選んだとしよう。そこで、アンケートを設計するには、あなたなりの仮説(答え)がまずなければならない。そして、その仮説を検証できるように設問を企画設計する必要がある。

あなたは次のような仮説をたてたとしよう。
仮説例:「おこずかいの多い少ないによって選択に差が出る」
そうなると、自ずと設問は決まってくる。

Q1 あなたは携帯とPHSどちらを使ってますか?
Q2 あなたのお小遣いはいくらですか?


この2問を実施してみて、以下のような結果が出たとすれば、大体仮説が正しかったといえる。
(あとは統計的な有意差を確認すればよい。)

 


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