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卒論 Tips9 プロの論文を見よう (2/2)
   
プロの論文の感想・評価

 内容はどうだっただろうか?論文本体は掲載されておらず、サマリー(要約)の形だったかと思う。プレゼンテーション資料のイメージであるので、直接的には論文スタイルの参考にはならないだろう。だが、卒業研究をまとめるにあたり、以下のような観点で見てみると、非常に参考になると思う。

◆設定テーマに対する仮説構築力

◆緻密なデータ収集に裏付けされた調査力

◆論理的なロジック展開力

◆シンプルでわかりやすいプレゼン資料
(→発表の際に参考にできる)

だが、皆さんはどのように感じただろうか?第一印象として、とにかく表現がうまいと感じたのではないか。わかりにくい内容を容易に表現しようとする創意が凝縮されている。では、内容的にはどうだろう?“すごいなあ”と思った方もいるかもしれない。また逆に、“それほどたいした ことないや・・”と思った方もいるだろう。

そうである。それほどたいした事は無いのである。この手のレポートは、新卒2〜3年目のクラスで十分対応できる範囲である。作成上の方針決定ではもう少し上の層も関与すると思われるが、多くのステップで中心的に動いているのは君らとそんなに変わらない若い人たちである。だから、皆さんもこの程度の論文を書いて当然だと思う。
以上、リサーチやレポートを仕事にしているプロのレベル感を共有・把握して頂けたかと思う。

【論点の流れ】

IT革命がもたらす雇用構造の変化
雇用構造の変化を、雇用数の定量的変化と、雇用展開のメカニズム両面から捉える

方針:IT革命が与える定量的影響を雇用のプラス面とマイナス面のインパクトに分けて検討する

インパクトの具体的なパターンを想定
(実態調査、有識者ヒアリングよりプラス面は3タイプ、マイナス面は2タイプ設定)

各パターンについて、雇用予測モデルを設定し、現状データを代入し、数値を計算:
雇用数=国内総生産×人件費比率÷一人当所得

シミ ュレーション結果、IT革命により今後5年で249万人雇用増(プラス面)、163万人雇用削減(マイナス面)、差し引き86万人の純増。

また、シミ ュレーションの時系列変化と米国先行事例(雇用転換メカニズム)に、日米の社会インフラの差を加味して、日本における雇用転換メカニズムを考察すると・・・である。