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卒論 Tips10 論理的な展開とは  (2/2)
ロジカルシンキングの秘訣

 前ページの4つの問いの意味、関係はわかったかだろうか?少々抽象的でわかりにくかったかもしれない。ここでは、おさらいの意味も含め、一味違った角度から、”論理的な展開の納得性を高めるためにどうすればよいか?”その原理原則について少し触れておきたい。

ロジカルシンキング(論理的な考え方)で基本となるのは、下の図にあるようなピラミッド構造で思考を整理することである。

一番上に来るのが、その論文を通して一番言いたい事(=結論)である。それを導くために、第一章から第三章(通常はもっと多いと思うがここでは三章立てと仮定)が 位置づけられており、先ほどの4つのチェックポイントをクリアするかどうかをチェックする。
そして、更に、同じ事が、一段下がった構造においても成り立っているかが重要である。つまり、第一章で言いたかった事(=結論)は、第一節から第三節の記述から導かれているか どうかである。このようなピラミッド構造を意識するだけで、論文の構成がイメージしやすくなる。

 更に、論理性を高めるには、以下の図で示した、青色の矢印とオレンジ色の矢印の箇所が重要となる。ここに二つの原則がある。青色の箇所は「MECE」と呼ばれるもので、オレンジ色の箇所は、「So What/ Why so」でつながっているべきものである。


 


一番目は左下の図でみた時に、
第一節から第三節までで示した色々な“情報やデータ”がMECEかどうか?ということである。このMECEというワードは聞き慣れないものだと思う。米国発の造語であるが、最近、ビジネススクール等では当たり前のように使われているものである。Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive の頭文字をとったもので“ミッシー”もしくは“ミーシー”と発音する。“ある事柄を重なりなく、しかも漏れの無い部分の集合体として捉えること”を意味している。 十分かどうかを判断する時に使える考え方である。導入部分の“情報・データ”同士が重なりなく、しかも漏れがな く揃っているかどうかをチェックしよう。

二番目は 左下の図でみた時に、第一章から第三章で示した“情報”と 、上位に来る“結論”が、下から見ると、So what(だから何なのか?)に答える内容になっていて、逆に上から見ると、Why so(本当にそうなのか?)に答える内容になっているかということ。
 

もう少し噛み砕くと、“第一章から第三章までの情報・データを見て、話を集約すると、結論が自然に出てくる”、と同時に、”結論を具体的に説明すると、 その定義が第一章から第三章までの情報・データになっている”という関係になっているということである。このように上から見ても、下から見ても、両方から見て、話に飛躍が無いかどうかをチェックするということ が重要である。

以上の 原理原則を意識しておくだけで、少なからず論理的な展開の納得性を高めることができるだろう。

 

(備考)

 ロジカルシンキングという言葉や概念を見聞きしたり、一度は学んだことのある人は多いと思いますが、実際に使いこなしている人 となると、多くはないのが実情です。
ロジカルシンキングは、レポートや論文の構成・流れ ・骨組みを設計する上で、非常に役に立つものです。ですので、一度じっくり勉強してみてください。

 紙面の関係上、ここでは上記程度しか説明できませんでしたが、書籍等でマスターすることをお薦めします。お薦め本はbooks tipsで紹介しています(事例が豊富で実践的な書籍の方がベター)。また、4年生であれば、「@卒論WEBサポート」 でも、卒論に的を絞り無理なく身につけることのできるドリルを用意しています。