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卒論 Tips1 はじめに・・・再度原点に戻って考える卒論の目的  (3/4)

社会人に必要なスキルとは?

−事例2− 中堅証券会社に就職し営業ウーマンとして配属されたAさんとBさんがいる。

 

 担当地域がそれぞれ割り当てられており、毎日外回りの営業を主体に活動している。その内容は、本部から出てくる見込み顧客リストに基づく新規顧客開拓や、推奨商品の既存顧客への提案、注文取りといった仕事である。

 

 

Aさんは一生懸命に言われたとおり外回りをこなし、推奨商品を提案に回り、飛び込み営業をリストに基づき行い、注文取りをこなしていた。しかし与えられたノルマを達成するのは大変なことだった。

一方、Bさんも同じように毎日一生懸命外回りをしていた。 Bさんのノルマ達成度合いは当初、Aさんと似たようなものであった。

だが半年位経った頃から少しずつAさんの達成度を上回るようになった。

 そこで、ある日Aさんは、Bさんがどのような活動をしているのか聞いてみた。 すると次のような事がわかった。

 当初、Bさんもリストに基づいて訪問活動を行っていたが、Aさんと同じように、そのほとんどの場合、訪問先は不在か、門前払いで、話しすら聞いてもらえないことが多かった。そんな中、集合住宅よりも一軒家の方が在宅率が高いのではないかと感じて、一軒家を集中して回ることにした。何軒かに一件の割合で、奥さんは不在であっても、おじいちゃんかおばあちゃんがおり、話だけは聞いてくれる事があった。
話をしていると、彼らの多くは郵便貯金をやっていることがわかり 、「郵便貯金と同じ程度のリスクで、それ以上のリターンが得られる商品があること」をじっくり説明すると、試しに取引を始めてくれるお客さんがぽつぽつ現れはじめた。そこで、「彼らの多くは郵便貯金を例に出して説明し、それより優れていることを説得できれば、自社の商品を買ってくれるのではないか」と考えた。そして自分なりに、郵便貯金と自社の金融商品についてわかりやすく比較した説明資料を作成して、それを持って回った。  

 

  また、従来から取引のある既存顧客への営業でも、鋭い観察眼から、「ある一定以上の資産を持つ人はリターンよりも安全性を重視しており、それ以下の人は嗜好が多岐にわたるのではないか」という仮説をたてて、進める商品や持っていくパンフレットを使い分けるようにした。

 すると、一定以上の資産を持つ層では、かなりの率で推奨した商品を買ってもらえるようになった。

また、……顧客の特性から、「一定期間ミドルリスクミドルリターン型商品の取引経験のある顧客の方が 海外通貨ベースの投信やREIT関連等の未知の金融商品に対する興味も高いのではないか」 という仮説を立てた。そして既存顧客リストを使い、取引履歴と期間から見込み顧客を選別して、その人達を中心にカタカナ商品を進めてみたりもした

 

 

このように、本部の推奨商品を、ただ提案して回るのではなく、自分なりに考えながら、仮説をたて、実行してみることで、はずれることも多かったが、それなりの効果を得ることが多かったということであった。

 

 →次ページでは、現在、企業で進行しつつある重大な変化と、これら2つの事例の意味を、一歩進めて考えてみたい。


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