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卒論 Tips12 ネット時代のお作法  (1/4)
盗作問題から引用、正しいパクリ方まで

 昨今、インターネットの普及により、以前に比べると過去レポートや論文を簡単に目にすることができるようになってきた。当サイトでも、たくさんの論文を 検索できるし、紹介している。しかし、これらをうまく活用するのと、悪用するのでは全く意味合いが異なってくる。

 そこで、今回のTipsでは、正しいネット時代のお作法と、盗作・剽窃の危険性について紹介し、更に、積極的にネット上の情報や、過去レポート・論文を参考にする方法として、賢いパクリ方(通称「メタパクリ法」)について紹介してみたいと思う。

 著作権保護法で保障されている引用について

まず、ネット時代のお作法について紹介しよう。インターネットが普及する以前から、レポートにせよ、卒業論文にせよ、大学という学術的な場において創作物の扱いに関してはルールがあ る。「著作権保護法」である。この中で 特に関連するのが「引用」についての項目。ネットや文献で見かけた色々な情報や、過去の論文・レポートの内容を参考にして引用し、自分の論文やレポートを書くときのルールについてである。

 具体的には著作権保護法第32条というところで、学術・研究目的の場合、「公表された著作物は、引用して利用することができる」と定め られている。
これは、あくまでも「引用」という形で使う分には問題が無いことを保障してくれるものでもある。但し、この「引用」の際、いくつかの条件がある (その条件を守った上であれば他人の著作物を引用して使うことは全然OKということだ)。
 一方で、そのような条件を無視して 「他者が考え作ったものをそのままパクり、自分の著作物のような顔をする事は法に反する」ということでもある。

そこで、肝心なその条件 を意訳して紹介すると、以下の3点である。

  • 自分の意見が主で、あくまでも引用されるものは従の関係にあたるものでなければならない。

  • 引用した部分は、明確に引用したことがわかるようにしておかなければならない。手を加えてもいけない。

  • 引用したものが何であるかを十分明記する必要がある。

一点目は、自分の意見がまずあって、それを補強・補足する為に、“参考までに紹介する”といった形でなければいけないということである。質的にも量的にも主―従の関係がなければならないのだ。

二点目は、具体的には、括弧書きにして字体を変えるなどして、読む人に、本文ではなく、引用してきた箇所ということが一目でわかるように表現するということである。
例 「公表された著作物は引用して利用することができる

 その際、内容を変えたりしてはいけない。ちなみに、たまに〔ママ〕とルビが振ってある文章を本などでみかけたりすることがあると思うが、あれは、引用したものが日本語上間違っていたり、誤字だったとしても、それを知った上で、引用のルールに厳密に則り、そのまま表現していますということである 。

三点目の「引用したものが何であるかの明記」は一種のお作法として、いくつかの項目を明記することになっている。

 

 具体的な引用のお作法

引用元 記述すべき事項

書籍

著者名、著作物名、発行者・出版社、出版年、引用した文のあるページ

論文

著者名、論文名、論文が掲載されていた雑誌・専門誌等の名前(巻や号があればそれも)、年月、引用した文のあるページ

ネット

著者名(機関名)、サイトタイトル、サイトURL、年月日(更新等ある場合)

 但し、明記の場所は、文中で簡単に(著者名、年度、頁)を紹介してもよいし、最後の参考文献・引用文献の一覧で上記について紹介してもよい。

 なお、上記は大学に限らず一般的に世の中で決められたルールである。 そして、学術的な世界では、一般的な世の中よりも「先行者の発想・考え」を非常に尊重し、それを十分表現するということがとても重要視されている。

自分がオリジナルの発想で書いた論文と、同じ趣旨の事を過去に書いた人がいた場合(それが後になって発覚した場合)、悪いのはそのことを調べ上げずに書いてしまった方になる。全く知らずに100%自分自身の発想で考え出したとしても、それはパクリとみなされかねないのだ。

 また、先行者の考えを十分調べ上げる事を重視するという点では、次のようなことも言われる位である。

  • 「いい論文とは、引用・参考文献がたくさんある論文である」

  • 「更に、参考文献で引用した書籍の頁は最初の方のページ(例えば25ページ)ではなくて後の方のページ(例えば230ページ)の方がよい」。

 後者の話はなぜだかわかるだろうか。つまり、「多くの書籍を読みました。それも目次と最初の方の頁をさらっと目を通したのではなく、きちんと最後まで読みました」ということをアピールできるからだそうだ。

 まあ、このような世界に住む大学の先生達を相手にするのだから最小限のルールは守った上でレポート・論文の作成にあたろう
ルール違反(つまり、他人が作ったものを自分が作ったかのように思わせるオール・コピペ等)が万が一見つかった場合の代償は大きい。大学によってはその学期の全単位が無効になったり、卒業した後でも、実名を公表し、場合によっては決まっていた就職先も失ってしまったり・・・。

参考:慶応大学の卒業生A君の運命や如何に!?

↑こんなことにならないように・・・・

 


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